折角、せっかく

せっかく

 せっかく(折角)とは、努力したことや、時間を費やしたこと、めぐってきたチャンス、などが生かせずに終わる残念な気持ちを表現する言葉。「せっかくの努力が水の泡だ」「せっかくお越しいただいたのにお目にかかれず残念です」「せっかくメンバーに選ばれたのにものにできなかった」など、よく使われる言葉であるにもかかわらず、微妙な感情表現をともなうせいか、この言葉の意を表す英語はない(と、言い切っていいものかわからないが、辞書で調べた限りではない)。例えば例文の「せっかくの努力が水の泡だ」は英文では“All my efforts came to noting”(あらゆる努力がムダに終わった)となり、「せっかく」という徒労感を表す表現は見当たらない(もしかしたら、そういう言葉があるのかもしれないが、「せっかく」で和英辞典をひいたらいきなり例文しか出てこなかったのだから、ないのだろう。あるんだったら、載せろよという話だ)。中国語には「折角」という熟語はあるが、別の意味であり、日本語で「せっかく」に近い意味を表す語には「特意(特別に、わざわざ、などの意)」「難得(貴重である、特別である)」などがある。しかしいずれも、その出来事や行為の特別感、わざわざ感を表すにとどまり、「せっかく」のように、特別にそうしたのにムダに終わったというニュアンスまでを含む言葉ではない。

 では漢語の「折角」はというと、字義通り「角(つの、または、かど)を折る」という意味だが、この言葉をもとにした故事などから「高慢の鼻をへし折る」「努力すること、骨を折ること」「困難に遭うこと」「わざわざ、つとめて」などの慣用的意味で使用されるようになった。「わざわざ、つとめて」という意味は、後漢のある有名人が外出中に雨に遭い、かぶっていた頭巾の角(かど)が折れてしまったことから、庶民がその徳にあやかろうとわざわざ頭巾の角を折って被ったというバカみなたいな故事から生まれたそうだが、日本ではこの「わざわざ、つとめて」の意味から、「わざわざやったのにダメだった、ざんね~ん!」といったニュアンスが含まれるようになったと考えられるが、その経過についてはよくわからない(というか、詳しく調べていません)。(VP KAGAMI)

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