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いらっしゃい、いらっしゃいませ

いらっしゃい、いらっしゃいませ

 いらっしゃいとは、来訪を歓迎する挨拶。または、商店などの呼び込みの言葉。「来る」の尊敬語「いらっしゃる」の命令形で、敬語を無視して直訳すれば「来い!」なので、使い方としては商店の呼び込みのあんちゃんが正しい。商店などの歓迎の挨拶の場合は、言葉を丁寧にする「ます」の命令形「ませ」「まし」を付けて「いらっしゃいませ」「いらっしゃいまし」ということが多い。昔気質の寿司屋や魚屋の職人などは「ませ」だの「まし」だのは似合わないので、「へい、いらっしゃい」と元気に声をかける(威勢のいい寿司屋でも、給仕のスタッフは「いらっしゃいませ」と言う場合が多い)。

 余談になるが、コロナ渦中の先日(緊急事態中なので、酒なしのランチです)、ある寿司屋に行ったところ、店内に「コロナ感染対策のため、『いらっしゃいませ』『ありがとうございました』など活気のあるご挨拶は控えさせていただいております」という張り紙が張られていて、「活気のあるご挨拶は…」というところで思わず笑った。

 来訪を歓迎するのに「いらっしゃい」つまり「来い!」は無意味で(もうすでに来てそこにいるんだし)、あまりに無礼ではないかと思われるが、これは「ようこそいらっしゃいました。歓迎いたします」つまり「よく来たね。歓迎するよ」あたりの略ではないかと考えられる。「ようこそ」も歓迎の挨拶のひとつだが、「ようこそ」の場合、「こんにちは」や「さようなら」ほど定着していないので、どうしてもその前後に何か言葉を付け加えたくなり(「デニーズへ」とかね)、長ったらしくなってしまう。「いらっしゃい」「いらっしゃいませ」はいちおう句として完成しているので、採用されることが多いのかと思われる。

(KAGAMI & Co.)

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