読む

よむ

 読むとは、文字や文章を見て理解するという意味。文字や文章でなくても、表情や動作から相手の考えを推測したり、勝負事の状勢から先の展開を予測する行為についても「読む」という。「詠む」という漢字を使うと、和歌や俳句を作る、声に出して言うという意味。

「読む」はもともと、声に出して読み上げることを言った。つまり音読である。さらにそれ以前は、ものや数字を順番に数えあげることを言っていたようで、いまでも数字を「1、2、3…」と順番に声に出して言うことを「数を読み上げる」という。書かれた文章も同じノリで、最初から順番に文字を追って声に出していくので(バラバラに読んだらわけわからなくなるので)、「読む」と言い表されたのだろう。本を読むという行為は、声を出そうが出すまいが、その内容を理解するために行われるので、しだいに「順番に数える」というもとの意味が薄れ、文字を見て理解するという意味合いに比重が置かれるようになったものと考えられる。その結果、文字ばかりでなく、人の表情や勝負事の状勢からその心情や先行きを推し量る行為についても「読む」と言われるようになった。

 いまわれわれは、へたに本を声を出して読んだりすると、声を出すことに気を取られてその内容を理解することができない。逆に、「子どもに本を読み聞かせる」というように、人に本を読んでもらったほうが理解しやすい。つまり声を出すのは相手に伝えるための能動的な動作であり、人に読んでもらったり、黙読したりという受動的な動作に集中したほうが本の内容は理解しやすいのである。であるから、「本を読む」はむしろ「本を聞く」と言ったほうが本質を表しているといえる(誰もそんな言い方はしないだろうが)。

 和歌や俳句を「詠む」というのも現代では、作品を創作するという、「黙って」行う作業の意味合いが強いが、人前で読み聞かせる(そしてドヤ顔する)のが本来の意味だったといえそうで、そうでなくても、作品を作って読み聞かせるまでが一連の「詠む」という作業だったと考えられる。この「詠む」の意味合いの変化には、「読む」の「無言化」が影響を与えているのではないかと筆者は考える。(VP KAGAMI)

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