観賞、鑑賞

かんしょう

 鑑賞、または観賞とは、美しいものを見て味わい楽しむこと。鑑賞は、主に芸術作品を見る場合に用いる。鑑賞の「鑑」は、鑑定、鑑識のように、あるものを見て値踏みする、分析するといった批評眼的な見方をする場合に用いられる。したがって、「おらあ、芸術作品だぜ」という居丈高な相手には「鑑賞」を、「へい、楽しんでもらえれば結構です」という腰の低い相手には「観賞」を使うことになる。早い話、フェリーニの映画は「鑑賞」、ジェームスボンドは「観賞」、歌舞伎は「鑑賞」、吉本新喜劇は「観賞」という扱いになる。しかし、歌舞伎もそれを見に行くだけなら「観劇」と「観」の字を使うので、歌舞伎と吉本新喜劇を分ける責任は「賞」の方にもあるといえる。「賞」はもとはほうびの意味で、そこからほめる、めでるという意味につながった。ものごとをほめる、めでるということは、対象を評価する(高評価する)という頭脳の働きを示しているので、ただバカづらして芝居を見に行く「観劇」とは区別され、相手をよく見て考えながらほめるところを探さなければならない。そこで相手が芸術的かそうでないかの区別が出てくるわけで、吉本新喜劇みたいにおなじみのギャグにバカ笑いして拍手する「賞」は「観賞」、歌舞伎のようにイヤホンガイドを聞いたり、かけ声をかけるタイミングをみはからったりしながら「賞」する場合は「鑑賞」ということになるのだろう。

 鑑賞の「鑑」は本来は鏡の意味で、そこからお手本、資料集などの意味に広がった。漢字は、皿に水を張って顔を写し吉凶を占った姿がもとになっているという。観賞の「観」は注意深く見るという意味だが、やはり占いがもとになっているようで、一説には鳥占いと関係があるらしい。だから、「鑑」も「観」も似たような意味なのだが、「鑑」のほうが貴重なものの意味合いが強くなり、芸術品のように徒やおろそかに扱えない対象を見る、値踏みするというニュアンスに使われるようになったのではないかと考える。(VP KAGAMI)

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