着着と、着々と

ちゃくちゃくと

 着着と(着々と)とは、ものごとが手順通りに滞りなく進むさま。「オリンピックの準備が着々と進められている」などと使われる。つまり、半年前になってもまだスタジアムもできていないような場合は、「着々と」は使えず、「オリンピックの準備は遅々として進まない」などと言う。

 「ちゃくちゃくと」は「ちゃくと」を重ねた言葉で、古くはすみやかにことが運ぶさまを言い表していた。「ちゃくと」は「すぐにさっと」という意味で、大阪弁で「ちゃっとやってんか(さっさとやってください)」のように使われる「ちゃっと」は「ちゃくと」が変化した言葉である。「着々と」には、大阪のいらちがわめいているような性急さはないが、のろのろやっていたらオリンピックのスタジアムなんていつまでたってもできやしないから、「手早く」という意味が残った上での「手際のよさ」に変化したのではなかろうか。なお、漢字の「着」には「すばやく行う」という意味はないので、おそらく当て字。ただし、現在の「着々と」の使われ方には、「着実」などと使われる「着」の「安定している」という意味合いが入ってきているのではないかと思われる。「ちゃくと」「ちゃっと」は、「さっと」「ささっと」などと関係ある言葉のように思われ、最近よく使われる「さくさくと」などにもつながるのではないかと考えるが、このあたりは筆者の思いつきにすぎない。

 ところで、大阪弁の「ちゃっと」「ちゃと」には「少し」という意味もあり、「ちゃとお断り申し上げま(ちょっとお断り申し上げます)」などと使われる。こちらは、「ちょっと」の古語「ちと」からの変化かと思われるが、いらちの愛する「ちゃっと」「ちゃちゃっと」などとどう関係しているのかはわからない。

(KAGAMI & Co.)

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