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恙ない、つつがない

つつがない

 恙ない(つつがない)とは、異常が無い、無事であるという意味。「オリンピックはつつがなく進行しています」などと使うが、どことなく古めかしい風情をたたえた言葉である。それもそのはずで、聖徳太子が隋の煬帝(ようだい)に送って皇帝をキレさせた親書「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙なきや」(太陽が出るところの天子が没するところの天子に手紙を送ります、お元気~っ?……みたいな、タメ口がお怒りの原因です)にすでに登場している由緒正しい言葉なのだ。

 和語の「つつが」は、病気、故障、異常という意味で、それが「無い」から、元気(病気ではない)、異常がない、無事であるということになる。「つつが」は、ものを布や紙でくるむ「包む」と同源の言葉で、実際に「つつみ(恙み)」という同じ意味の古語もある。「包む」はものをくるむ、ものを中に隠すという意味があり、そこから家の中に隠れる、謹慎するという「慎む(つつむ、つつしむ)」という言葉が派生し、家の中に隠れて出ないくらいだから病気、異常という「つつが」につながるという連想ゲームみたいな語源となっている。

 漢語の「恙」も、憂う、病気などの意味があり、「無恙」「不有恙」で和語の「つつがない」とほぼ同じ意味となり、「布颿無恙(布颿つつがなし)」つまり「帆船の帆は無事でした」と東晋時代の逸話に、また孔子も「不有恙乎(つつがあらざるか)」つまり「お元気ですか」などと使っているくらいで、古くから挨拶語や常套句として使用されていたらしい。聖徳太子は日本の天皇と隋の皇帝を「天子」と同位に並べた上で、漢籍などから引いて「恙なきや」とやらかしたに違いないが、煬帝からしてみれば「友達じゃねーし」とお怒りを買ったというわけである。

(KAGAMI & Co.)

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