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バタンキュー

ばたんきゅー

 バタンキューとは、疲れ果てて寝床に倒れ込みすぐに眠り込んでしまうありさまを言った俗語的な擬音、擬態語。「きのうは飲み過ぎて、家に帰ったらバタンキューでした」と聞けば、この人がどの程度酒を飲んだのかがわかる(この場合はたいして飲んでいない。もっと飲んでいたら路上でバタンキューである)。

 バタンは、倒れるときの音を表した擬音語でわかりやすいが、よくわからないのが「キュー」。キュー、キュッといった擬音語は、表面の滑らかなものを布などでこすったときの音(台所洗剤のCMなどでよく聞く)のほか、ビンのネジ式のフタを強く締めるとき、新品の革靴がきしむ音などの表現に使われる。これはつまり、表面の滑らかなものを他のもので強く急激に摩擦したときに発する音と考えられる。ビンのフタを強く締める(ひねる)ときのイメージは、ニワトリの首を絞めたり、袋の口を強く締める表現に使われる。人は強い苦しみを感じたとき、のどを「クッ」と鳴らすが(「苦しい」の「く」もそれと関係ありそうな気がする)、「キュー」はその音感とも重なって、胸の苦しみの表現や、酒を一気に飲んだときにのどをならす表現などにも応用される。生活の苦しさを表す「きゅうきゅうとする」は、困窮の「窮(きゅう)」の影響があると思われるが、やはり首を絞められたような苦しさの表現となっている。

 飲み過ぎて「バタンキュー」の場合の「キュー」はおそらく、首を突然絞められて落ちてしまった(失神してしまった)ニワトリのありさまで、苦しさを通り越してしまった状態だが、苦しいのは翌朝起きたときということになるのであろう。(VP KAGAMI)

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