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罵る、ののしる

ののしる

 罵る(ののしる)とは、相手を声高に非難するという意味。「ディベートって、ののしり合いのことですか」などと使う。本来は大声で騒ぐ、大きな音を立てる、騒がれる(評判になる)という意味で、『土佐日記』には「別れを惜しんでののしって(騒いで)いるうちに夜がふけた」、『源氏物語』には「犬たちが出て来て大声で吠える(ののしる)のはとても恐ろしく」「世間でののしりたまう(評判になられる)光源氏」といった趣旨の記述が見える。アメリカ人のディベートや中国人の世間話のように、大声でものを言い合っている様子は、日本人には口げんかをしているように見えるので、「相手を非難する」という意味でも古くから用いられており、現代ではその使い方が主となっている。

 語源は不明だが、『岩波古語辞典』は「のの」は大声を立てるという意味、「しる」は思うままにするという意味(統治するという意味の「領る」からか?)だとしているが、大声を立てるという意味の「のの」の文例がないので、わけのわからない説明となっている。太陽や月、神様のことを幼児語で「のの様」と言ったらしいが、ここでは関係なさそうだ。しかし私としては、悪口を言うという意味の「譏る(そしる)」との関連性を疑い、「のの」+「そしる」で、太陽、月、神様に文句を言うという構成はいかがなものかと考える。太陽や月に悪口を言うにはよほど大声を上げなければならないので、大声で騒ぐという意味につながるという、落語の知ったかぶりのご隠居みたいな説をいちおう挙げておく。(VP KAGAMI)

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