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慎ましい、つつましい

つつましい

 つつましい(慎ましい)とは、遠慮深く奥ゆかしいさまや性格を言う形容詞。「おしとやか」などとともに、女子の性格をほめるのに使われていた。そうやってほめておけば、みんなが見習って、おしとやかでつつましい性格の女子ばかりになるのではないかと思っていたに違いないが、いくらほめてもそうはならないので、いまではあきらめてそんなほめ方をする人もいなくなり、使用頻度の低い語となっている。

「つつましい」は、ものを包装する意の「包む」と同根で、意見や感情を包んで隠すという意味から来ている。古くは、気が引ける、遠慮される、気乗りしない、恥ずかしいなど、ネガティブな用法が主だった。その昔日本では、特に女子は、消極的なほうがよいとされていたし、わびさび精神で金持ちもつつましい振る舞いを心掛けるようになったので、現在ではポジティブな使い方が主となっている。

 ところで、貧乏なので毎日麦飯を食っているような生活(例えが、ふるっ)を「つつましい生活を送っている」のように言い表すことがある。彼らは遠慮深かったり、奥ゆかしいから麦飯を食っているわけではないので、この使い方は適切とは言えない。これは「倹約している」という意味の「つましい」との混同かと考えられるが、「つましい生活」をわびさび精神でポジティブにとらえて「つつましい」と表現していると見れば、目くじら立てて否定するほどの混用とも思えない。

(VP KAGAMI)

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