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関連用語
きな臭い
きなくさい
きな臭いとは、焦げ臭い臭いがするという意味。また、火薬の臭い、または火薬の燃焼した臭いがするという意味から、「国境できな臭い動きがある」のように、戦争が起こりそうな気配がするという比喩的な使い方をされる。世界情勢を見ると、そこらじゅうがきな臭さで充満していそうだが、実際は、国境付近に戦車部隊が集結しているとか、多数のミサイルの発射準備が整っているとか、「そんなのいまごろ言われても」という段階でこの言葉は発せられる。
「きな臭い」は、もとは布や紙、木などが焦げた臭いを表していた。そこから「きな」は、布を意味する「衣(きぬ)」から来ているのではないかと考えられている。しかし、布の臭いと布の焦げた臭いは違うのでいまいち納得できない。ところが、京都辺りに「かんこ臭い」という、やはりものの焦げた臭いを表す方言があり、この「かんこ」は、紙で作った衣服「紙子、紙衣(かみこ)」のことらしい。「かんこ臭い」のほうが「きな臭い」より使用例は古いようなので似た使い方をされている「きな臭い」の「衣(きぬ)」説にも説得力が出てくる。
この言葉は、江戸時代中期頃から使用例が見えるが、当時は目立った戦闘もなく、火薬も宝の持ち腐れになっていたから(持ち腐れで結構だが)、現代の主な使い方とは違い、実際に布や紙が燃えて焦げること、その臭いを不快に感じることという意味に使用され、そこから、今で言う「うさん臭い」「怪しい」という意味で「きな臭い男」(風呂に入っていなくてヘンな臭いがする男という意味ではない)のような慣用的な使い方もなされていた。(VP KAGAMI)