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鞭撻

べんたつ

 鞭撻(べんたつ)とは、強く励ますこと。「今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」と、目上の人におべんちゃらを言う際に用いる。「鞭」はムチ、「撻」はムチうつという意味で、早い話、鞭撻は、ムチでビシバシ打つということ。まるでサーカスのライオンか、マゾなおじさんの姿みたいだが、教師になることを「教鞭を執る」と言うように、「ご指導ご鞭撻」のためにムチをふるうのは、昔は洋の東西を問わず珍しくはなかった。しかし、いまどき教師がムチなんか持っていたら、即刻病院に入れられてしまうので、最近では例文にあげたような使い方しかされない。中国では文字通りムチで打つこと、敵を打ち負かすこと、罰を与えること、強く指導することなどの意味で古くから使われていたが、いずれも近年ではお目にかかれない光景なので、使用例はほぼなくなっている。つまり罰を与えたり、厳しく指導したりする意味の「鞭撻」は古語の部類に追いやられているということだ(ムチで打つことは中国語では「鞭打」という)。日本でほとんど唯一といえる冒頭の使用例には、飼い主の顔色をうかがうサーカスのライオンや、女王様にビシバシやられることに喜びを感じるマゾなおじさんの姿が投影されているようにも感じられる。

(VP KAGAMI)

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