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塩辛、しおから

しおから

 塩辛(しおから)とは、主にイカの塩辛のことをいい、魚介類の身と内臓を塩で漬け込んで発酵させた食品である。内臓に含まれるタンパク質分解酵素が、身のタンパク質を分解してアミノ酸(うま味成分)を作り出し、日本酒のあてに最適な(どんな酒に合わせようが個人の自由だが、ここは日本酒一択で譲らないぞ)食品となる。塩以外はすべてイカ本人の身体から作られる、究極のDIY(ドゥー・イット・ユアセルフ)食品といえる。

 同様の作り方をする食品には、カツオを使った「酒盗(しゅとう)」、ナマコを使った「コノワタ」、アユを使った「ウルカ」などがあり、鳥のツグミを使った塩辛もあったそうだ(いまは幻の食品となっているが、なんでなくなったのかはわからない。まずかったのか、うますぎて捕獲されすぎるのが問題なのか……)。タイのナンプラーや中国の蝦醤(シャージャン:海老ミソ)なども同類だが、いずれも調味料としての利用であり、日本人ほど本格的に食品化している民族はないと言われる。

 ところで、動物の内臓にはタンパク質分解酵素があり、うま味を引き出すというからには、消化途中の人間のゲロはうまいという結論になりそうだ。筒井康隆氏の小説に、ゲロを食べ歩くゲロマニアが登場するが、想像するだけで気持ち悪いので、この話はここまでとしておく。

(KAGAMI & Co.)

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