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可愛い、かわいい

かわいい

 可愛い(かわいい)とは、愛らしい、いとおしく感じる、という意味。特にわれわれが子どもやペットなどに対して、愛し、大切にしようという思いを抱かせる魅力について言う。この感情は、基本的には大人が子どもに対して、大人が失っている魅力について、例えば、頭が大きく目鼻立ちが柔らかいとか、言葉や動きがたどたどしいとか、考え方が幼いとか、そういう点について、愛らしくいとおしく感じる感情に基づき、それがペットやキャラクターなどに敷衍したものと考えられる。重要なことは、大人つまり目上の者が子どもつまり目下の者に対していだくのが「かわいい」と思う感情であるということ。だから、子どもが親をいくら大切に思っていても、親を「かわいい」と感じることはない。「かわいいおじいちゃん」とか「サザエさんのようなあわてものの母親を僕はかわいいと思った」というような言い方は、あくまで親を子どもに見立てた言い方である(つまり、かなり上から目線な言い方である)。

「かわいい(古語では、かはゆし)」の語源は「かははゆし」だと言われている。「かははゆし」は、「かほはゆし」すなわち「顔映ゆし」で、顔がほてる、顔が赤くなるようだということ。つまり、恥ずかしい、という意味。そこから変化した「かはゆし」も、恥ずかしいという意味の他、見ていられない、見るに忍びないほど不愍だ、つらい、という意味でも使われ、ようやく中世末から近世初頭に入って、現在われわれが使う「可愛い」の意味でも用いられるようになったようだ。「かわいそう」は、可愛い様子だという意味だが、弱い立場の者に同情をよせ、あわれに思う感情を言い表していて、本来の使われ方が残っていると言える。(VP KAGAMI)

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