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きれい、綺麗

きれい

 きれい(綺麗)とは、清潔であるさま、透明感があるさま、整然としているさま、容姿が整っているさま、色彩が鮮やかで調和がとれているさま、などの意味。

 類似の言葉に「美しい」があるが、「美しい」は綺麗であることに感動している様子を言い表している。例えば、「きれいな部屋」は掃除がいきとどいた部屋を、「美しい部屋」といえばインテリアが見事な部屋をイメージさせる。したがって、「きれいな人ですこと」などとおばさんが女性をほめた場合、「化粧がいきとどいて装ってはいるけれど、私を感動させるほどではない」という厳しい批評眼が潜んでいることを見逃してはならない。

「きれい」はまた、美術品などの価値を表現する言葉のひとつで、今日でもこれを基準として美を判断している人は多いが、アートの世界でははるか昔から、汚れてはいるが真実を表現しているもの、歪んでいるが力強いもの、くすんでいるが深みを感じさせるものなどに価値を見出すことが行われており、「きれい」は美術的価値のほんの一部を示すものでしかなくなっている。

「きれい」と日本語で発音すると、対語の「きたない」と同じ形容詞のように感じられるが、これは漢語の「綺麗」を語幹とした形容動詞として扱われている。古くは「美麗(びれい)」とともに使用されていたが、「きれい」だけが日本語ヅラして残っているというわけだ。「きたない」は形容詞なので、「きたなかった」「きたなくない」などと活用されるが、「きれい」は名詞なので「きれかった」「きれくない」とは言わず、「きれいだった」「きれいでない」としなければならない。しかし、いまでは「きれかった」「きれくない」と誰でも普通に(でもないか)そういう使い方をしているので、「きれい」は形容詞と認定してもよいのではないだろうか(よくないです)。

​(VP KAGAMI)

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