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蝸牛、カタツムリ

かたつむり

 カタツムリ(蝸牛)とは、陸にすむ巻貝の総称で、殻のついたナメクジであると大ざっぱに認識されている。つまり家持ちのナメクジであり、金持ちに見えるが、キャンピングカー暮らしであるから、たいした金持ちではない(ホームレスのナメクジよりはましだが)。

 カタツムリはフランスでは立派な食材(立派かどうかはともかく、とにかくフランス料理の食材である)だが、日本では長らく、カエルやウサギ同様、積極的には食されてこなかった。ただ最近では、サイゼリヤ(イタリア料理チェーン)で提供されていて人気がある(かどうかは知らないが、とにかくサイゼリヤで食える)くらいで、カエルやウサギよりは、食材としての認知度は高くなっているといえる。もっとも、フランス料理のカタツムリは、ニンニクやバジルでこてこてに味付けしてあるので、それ自体の味がいまいちわからず、わさび醤油で食ったらどんなものか一度試してみたいが、たぶんたいした味ではないので、寿司屋でもカタツムリは握らないのだろう。

 「カタツムリ」の「カタ」は「堅い」のカタ、「ツムリ」は小さくて丸いものを意味し、見たり触ったりしたそのままの表現だが、殻の描写にどどまっている。中国語の「蝸牛」は、「蝸」だけでもカタツムリを意味するが、「咼」はくぼんだもの、めぐるものという意味なので、やはり殻の表現であろう。中国人は殻だけの言い方では不正確と考えるのか、頭の形の描写を加えて「蝸牛」としているそのくどさに「らしさ」を感じる。英語のsnailは、「のろのろ歩く」という意味の古英語から来ている。そんならナメクジだっておんなじじゃないかと思って調べてみると、ナメクジのslugもやはりもとは「のろまなヤツ」という意味の言葉だったらしい。つまりまあ、そんな虫の区別はどっちだっていいよという態度である。で、フランス語のescargotだが、これは本来「食用のカタツムリ」のことを言ったらしいが、いまでは普通のカタツムリもescargotと読んでいる。もとをたどれば、ラテン語の「食える貝」にたどりつくようで、どうやらフランス人はカタツムリには食欲しかわかないようだ。

(KAGAMI & Co.)

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