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モズク、もずく

もずく

 モズクとは、日本で主に食用にされるモズク科の海藻。ホンダワラやツルモなど他の海藻に付着していることから「藻に付く」海藻、すなわち「モヅク」と名付けられたようで、奈良時代の正倉院文書にその名で記されている。見た目、「モズク」というより、「もくず(藻屑)」であり、海外では積極的に食されない海藻類であるうえに、ぬめりがあるときているので、海藻好き、ぬるぬる好きの日本人以外にはほとんど見向きもされないであろうという食べ物である。食べ方としては、生のモズクを食酢や三杯酢であえたものが主だが、沖縄あたりでは、新鮮なモズクを天ぷらにして提供しており、これがえもいわれぬ至福の味(天ぷらの魔力にだまされているだけかもしれないが)。こんなクズみたいな食品を、酒のつまみにしながらちまちま食べることに無常の幸せを感じることができれば、あなたは日本人の資格十分である。

 ところでもずくは、漢字では水雲、海雲、海蘊などと表記されるが、日本人100人に聞いても誰一人として書ける人はいないのではないかと思われる。現代中国語では海蘊で通じるようで、ということは中国でも食品として認知されているのかもしれないが、彼らがどうやってもずくを食べているのかは皆目わからない。(KAGAMI & Co.)

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