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蟷螂の斧

とうろうのおの

 蟷螂(とうろう)の斧の「蟷螂」はカマキリのこと。蟷螂の斧は、古くは中国・春秋時代のいくつかの書物に登場する例えで、弱者が強者に立ち向かう無謀な姿(または勇気ある姿、またはけなげな姿)、また、弱者が強がってみせることなどを表している。どうやらこの時代のカマキリはよほどヤンキーだったようで、路上で車(馬車または牛車)の前に立ちふさがり、斧をふりあげて威嚇する姿がさかんに目撃されていたらしい。ただ、その姿をどうとらえるかは人それぞれだったようで、斉(せい)の君主・荘公(そうこう)(在位紀元前553〜548)は、「勇気ある虫だ」として車を避けさせたというし、衛(えい)の国の大夫・蘧伯玉(きょはくぎょく)は、君主の座を伺う上司に「蟷螂の斧のような無謀な抵抗はせず、身を慎んで君主に仕えなさい」と提言している。現代では、負けるに決まっている戦いにいどむ弱者のけなげな姿、ムダな抵抗として、判官贔屓(ほうがんびいき)の対象ととらえることが多く、そのような弱者が少しでも相手にダメージを与えると、「一矢を報いた」として、「よくやった」とその強がっているカマキリを賞賛したりする。(KAGAMI & Co.)

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