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不束者

ふつつかもの

 不束者(ふつつかもの)とは、気の利かない人、不調法な人という意味。自分や身内のことを謙遜して言う表現で、少し前まで、女性が結婚相手の親族に対して「不束者ですが、よろしくご指導ください」などとお調子をこく際に用いられた。現代では死語に近い言葉で、あらたまってそんなことを言うと、「こいつ、作ってやがるな」と勘ぐられるおそれがあるので、避けた方がいい。一方、結婚式の挨拶で親が「不束な娘ですが。○○君にもらっていただいて」などと言うのは、リアルに「不束な」娘にもらい手ができてほっとしている親の心境を言い表していて好ましい。

 「不束(ふつつか)」は「太束(ふとつか)」の転ではないかと言われる。「束」は短い柱のこと。そのため「ふつつか」は、当初は「太くてどっしりしていること」要するに「デブ」という意味で用いられていた。デブには、どっしりしていてたくましいという見方がある一方、ぶくぶく太ってかっこわるい、だらしなさそう、気が利かなそうという印象があるが、その両極端のイメージは平安時代からすでにあったようで、『源氏物語』でも「ふつつか」は、「しっかりした後見人」のような使い方と、「ぶかっこうで荒っぽいデブじじい」みたいな用例が混在している。その「だらしなくて、気が利かなそう」な印象が、現在の用法につながったものと思われる(現代では「デブ」の意味はないので、安心してお使いください)。(KAGAMI & Co.)

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