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一汁三菜

いちじゅうさんさい

 一汁三菜とは、日本食の基本メニュー(というか推奨メニュー)で、汁物1椀とおかず3種という意味。肝心のご飯がこの中に含まれていないが、主食であるご飯は付くのが当たり前なので、言わずもがなということ。したがって、「一汁三菜」の定義も正確に言うなら、米飯の副菜として推奨される日本食の基本メニューということになろう。おかずが3種あれば、バランスのよい食事がとれるだろうということでこの形態が推奨されているわけで、いくら3種がいいといっても、ハムカツとシューマイとハンバーグではダメである。

 日本の家庭料理はもとより、弁当や定食にもこの考え方は息づいている。弁当の場合は「汁」は付きにくいが、それでも、自販機でお茶などの飲み物(最近は味噌汁やスープなども販売されている)を買って弁当に合わせるのは普通だし、しょうが焼き定食などは一皿で出てくるが、必ずキャベツの千切りなどが添えられているのでそれで二菜、さらに別の小皿に漬物などが付く場合も多いのでやはり三菜である。

 平安時代後期の絵巻物『病草紙(やまいのそうし)』には庶民の食膳が描かれていて、すでにこの時代、一般家庭で一汁三菜の食事をとっていたことがわかる。おかずは小皿に盛られた魚や野菜らしきもの3種で、大昔の貧乏人(といっても、烏帽子のようなものを被っているので、下位の役人か)のくせになまいきにバランスのよい食事をとっていることがわかる。ただし、この絵の男は、歯そう膿漏のため歯がぐらぐらしても料理が食べられず、これ見よがしにうまそうなごちそうと山盛りのご飯が並べられていて、「あいにくでしたね」という図式になっている。

(KAGAMI & Co.)

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