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深窓の令嬢

しんそうのれいじょう

 深窓の令嬢とは、世の中の汚れに染まらず育った上流階級の娘を例えた言葉。「深窓」は家の中の奥深いところという意味。「深窓の令嬢」は要するに、家の中の奥深いところで大事に育てられた娘ということで、「箱入り娘」と同じような意味だが、「箱」に比べて、奥深いところがあるくらいビッグな邸宅なので、「娘」も「令嬢」と姿を変える。そんな大邸宅も昨今はあまり見当たらず(私が知らないだけかもしれないが)、そもそも「深窓」なんかに閉じ込められている娘もなかなかいないので(ときどきすごい珍種も見つかるが)、「深窓の令嬢」という言葉も使いどころを失っている。

「深窓」つまり「窓の深いところ」というのは、意味がわからない言葉であり、そんな不合理な使い方を許さない中国では「深窓」は「深宅」「深閨(閨は寝室の意味)」という当たり前の表現となり、「深窓の令嬢」は「深閨高閣中的小姐(家の奥の寝室、高くて立派な建物の中の小娘?)」などと言い表されるようだ。「深閨高閣」としつこいところは中国語らしいが、「深窓」なんてわけのわからない言葉は使わない。日本では「窓」を「窓のある部屋」という意味で使うことがあり、この「深窓」のほか「同窓会」などがある(さすがに日本人もヘンだと思うのか、使用例は少ない)。もっとも中国でも「同窓会」は「同窓会(または同学会)」と言うようで、あちらにも不合理な使い方はあるじゃないかと反論されそうだが、この場合、窓を共にした仲間的な意味と解釈され、非合理とは言えない。

 しかしわれわれ日本人にしてみれば、「深窓」は、ときどき窓辺に立つくらいでいつも家の奥にいる令嬢をイメージさせ、詩的には妥当な用法であり、「深宅」では理屈は正しくてもダメダメである。

 (KAGAMI & Co.)

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