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風を吹かす、風を吹かせる

かぜをふかせる

 風を吹かす、または、風を吹かせるは「役人風を吹かす」「先輩風を吹かせる」のように、その立場を誇示していばるという意味で使用される。いずれも、「役人風吹かせやがって、いけ好かない野郎だ」とか「先輩風を吹かせて下っ端をこきつかう」のように、嫌悪の対象として語られる。いばったり自慢したりするヤツを嫌う日本人は、それにふさわしい立場や身分にあったとしても「実るほど頭を垂れる稲穂かな」などと言って、そういう態度を戒める。まして、立場は上でも品格がともなわない人物が「風をふかして」いるとなおさら嫌われる(品格がないからそういう態度をとるともいえるが)。『水戸黄門』で、最後に土下座させられる連中がその好例といえる。

「その場の雰囲気」の「気」は、人間関係において言動や表情、態度などから感じ取る他者の意向やホンネ。その「気」が動いて、相手に影響を与えるようになるのが「風」であり、「風当たりが強い」「風向きが変わる」などと使われる。いやーなヤツの「気」が「風」となって当方に影響を与えるのはたいへん不快なもので、そこから「武士の風上にも置けぬやつ」などという言い方も生まれる(めっちゃクセえんだよ、きっと)。冒頭の例とは違うが、「臆病風を吹かす」といった使い方にも、なにものかにビビっているヤツの「くささ」が気になってしょうがないのだと言える。(VP KAGAMI)

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