出汁、だし

だし

 出汁(だし)とは、食材に含まれるうまみ成分を抽出した汁。肉、魚介類、野菜など様々な食材からそのようなスープはとれるが、特に和食の食材からとるものを「出汁」と呼ぶ。出汁は和食のうまみの基本であり、どんなにヘタな料理人でも、出汁さえ使えばそこそこの料理が作れ、しかもその出汁は(フランス料理や中国料理などと比べると)どんな素人でも短時間でお手柄にとれるという、料理ベタなわれわれ万民にやさしい特徴がある。

 世界中に「出汁」にあたるスープがあるが、和食の出汁との最大の違いは、和食には「出汁専門」の食材があるということだ。海外の出汁は、肉、魚介類、野菜など、そのまま料理して普通に食べる素材を使ってとる場合が大半だが、和食の場合、コンブ、カツオブシ、煮干しなど、直接料理して食べることは少なく、ご存じのようにこれらの食材は、うま味をスープに引き出すまでが仕事で、出汁をとった後の出し殻はいさぎよく捨てられるか、捨てるのがもったいないので、たいしてうまくないがしかたなくつくだ煮などにして食べるという程度である。

 では、なぜそのような出汁をとる食材が生まれたかというと、和食では「出汁」とその「うまみ」が意識化されたからではないかと考える。例えば、アサリを火にかけるとコハク酸を主とするうまみの強い汁が出て、パスタ料理のボンゴレは他になんの味付けもいらないほどだが、日本人の場合、そのアサリから出る汁に着目し、「なんか他にもこういう汁が出せる素材があるんじゃね?」と模索した結果、カツオブシなどうまい出汁をとれる食材の開発につながったのではなかろうか。また、コンブなどというたいしてうまくもない海藻(個人の感想です)が出汁の女王(カツオブシを王様と考えています。なんとはなしのイメージです。カツオブシは「武士」というくらいだし)として君臨し、高値で売買されるのもそのおかげである。こうした「出汁の意識化」の延長線上に、「うまみ」の発見や「うまみ調味料」の開発があると言っても過言ではないだろう。

(KAGAMI & Co.)

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