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関連用語
無味無臭
むみむしゅう
無味無臭とは、なんの面白みもないこと。平凡であることを強調した語で、「無味無臭の小説」などと使われる。本来は食物に味も臭いもないことを言い、要するに水のようなもののことだが、「水」を念頭に置くと、「無味無臭の小説」は老荘思想を体現した至高の作品のように思えてくる。この「無味無臭」という表現には、ある程度の味やよい臭いを期待していたのにそれが裏切られたという意味合いがあり、要するにビールを注文したのに水が出てきたようなもので(少し違うかも)、そのガッカリ感が現れているといえる。
中国語には「無味」「無臭」それぞれの熟語はあるが、これを組み合わせた「無味無臭」という四字熟語はない。面白みがない、平凡であるという意味では「無味枯燥(よみは「むみこそう」と思われるが、日本語では「枯燥」という熟語を使わないので、あえてよむことには意味がない)」があり、これは日本では「無味乾燥」と変換して使われている。また、水の様相を表すのに「無色無臭」、世の中に騒動がなく静かであることを表すのに「無声無臭」といった四字熟語があり、これらを組み合わせて近年日本でできた言葉が「無味無臭」であると考えられる。
(VP KAGAMI)