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属国

ぞっこく

 属国とは、従属国とほぼ同意で、宗主国の国内法に基づき対外的関係の処理に関して宗主国に従属する地位にある国家。宗主国の国内法で認められた範囲で対外関係を処理し得る(以上『法律用語辞典』による)。

 属国とか宗主国という言葉を聞くと、どうしても周辺諸国と冊封(さくほう)関係を結んでいた中国の王朝(もちろんオレ様中国が周辺諸国に冊封関係を結ばせてやっていたのだ)を想起する。中国の冊封体制は、「中国王朝の皇帝が周辺諸国の君長に官号・爵位の封冊を与えて君臣関係を結び、宗主国対藩属国(=属国)という立場でこれを従属的な地位におくこと」(『国史大事典』)であり、それにより朝貢貿易などが許された。日本も、室町時代に足利義満が明王朝との朝貢貿易を求め、明から「日本国王」を認められて冊封関係を結んだが、その後は民間貿易(早い話、密貿易)や西欧との貿易の活発化によりこの関係は自然消滅したと考えられ、その証拠に晩年の豊臣秀吉は明に攻め込んだりしている(「下剋上」ってか?)。中国の冊封体制には安全保障の側面も強く、冊封体制下にあった朝鮮半島の国家は、元寇のときは一緒に攻め込んで来たし、秀吉が攻め込んだときは明の助けを求めている(日本は中国に助けられたことも、助けたこともないからやっぱり義満の朝貢貿易はウソの「冊封」と見るべきか)。

 こうした安全保障体制の見方から、現在の日本は米国の属国だと考える向きもある。しかし、日本が戦争に巻き込まれた場合、米国は軍隊を派遣する(はずだ)が、米国が戦争を起こしても日本は金銭面で援助するだけで、ある意味知らん顔できるという一方的な安保関係を冷静に考えると、むしろ米国が日本の属国ではないかとも思えてくる(「カネ出すから君たちはうちのために働きなさい」みたいな)。もちろん、この関係を維持するために日本は米国にへいこらしている面はあり、その江戸時代の越後屋みたいな態度に「属国感」を感じる愛国者も多く、のんきな米国人が「オレらが働かされてんじゃねえか」とわれに返ったら、その関係も見直しが進むのかもしれない。

​(VP KAGAMI)

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