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高野豆腐

こうやどうふ

 高野豆腐は、凍り豆腐(こおりどうふ)、凍み豆腐(しみどうふ)とも呼ばれ、豆腐を凍らせた後乾燥させた保存食品である。高野山の僧侶が製法を偶然に発見したためこの名があるとされる。要するに、冬季に豆腐を誤って屋外に放置してしまったというぼんくらなミスから生じた食品。かちかちに凍った豆腐をなんとかもとにもどそうと日干ししたかして乾燥させたところ、「なんだかいけそうだ」ということになったのではないかと思われる。ただ、それ以前にも豆腐を日持ちさせようと、日干しにしたり、漬物にしたり、煮しめたり、さまざまな実験は行われていたに違いなく、それらのベースがあってはじめて高野豆腐が完成したとも考えられる。ノーベル賞級の発見やヒット商品の開発も、ミスや偶然から生まれることがよくあるようだが、そんな数々の成功のもととなった失敗のストーリーを「高野豆腐タイプ」と呼ぶことにしたい。しかし、高野山の僧侶がつくったという話そのものにも異論があって、近畿地方の山村で冬季に作られていたものに、「いかにも」というストーリーが乗せられ、「凍り(こおり)」と「高野(こうや)」の語呂合わせも手伝って高野豆腐と呼ばれるようになったのだとする説もある。それが事実だとすると、「高野豆腐タイプ」は、万有引力を発見したニュートンについて語られるりんごの作り話のようなケースについてそう呼ぶことにしたい。(KAGAMI & Co.)

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