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滋味

じみ

 滋味とは、奥深いうまみを表現する言葉で、「滋味豊かな料理」などと使う。「滋」はうるおう、増やす、(草木が)茂るなどを意味し、草木をうるおす恵みの雨「慈雨」、身体をうるおす栄養が豊富な「滋養」といった熟語を形成する。「滋味」も本来は「栄養豊富でおいしい味」のことを言った。しかし、栄養豊富なものは必ずしもうまいものとは限らず、また、糖分や脂分や塩分をたっぷり使った体に悪そうなものがとびきりうまかったりするのが現実なので、「滋味」も、誰にでもわかる幼稚なうまさの表現には用いられず、驚くほどうまくはないが、食べるうちに栄養が体をうるおすような感じがして、がまんして食べ慣れれば必ずしもまずいというわけではない(そんなに悪く言わなくてもいいが)大人の味、例えば「根菜の煮付け」「うずら豆のスープ」といった料理を表現するのに使われる。このような味の表現には「飽きが来ない」「後味がよい」などがあるが、いずれも「たいしてうまくない」ということを、料理人を傷つけないような表現で言い表したものである。

 また「滋味」は、「味がある」「しぶい」などと同様、芸術作品や俳優の演技などを表現する言葉としても用いられることがある。派手さはないが奥深い味わいがあり、じっくり観賞するに足る作品や演技などをたたえる表現となるが、派手さがないうえに名前も売れていないという「地味」と音が同じでありまぎらわしいので、あまり積極的には使われず、ほかに誉めようがないときに「滋味あふれる演技で知られるバイプレイヤー」などと使われる。(KAGAMI & Co.)

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