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味醂、みりん

みりん

 味醂(みりん)は「甘い日本酒」といえるアルコール飲料の一種で、現代では主に調味料として使われるが、われわれ庶民が「みりん」と認識し、一般家庭で使用されているのは、アルコール分の少ない「みりん風調味料」、つまりカニカマみたいな飲料であり(例えがよくありませんが、要するにみりんに似せて作られた調味料)、本来のみりんであり、日本料理店や味にこだわる家庭で使用される(要するにお高い)「本みりん」とは区別される。

 日本酒と同程度のアルコール度数を有するみりんは、江戸時代から戦前まで普通に酒として飲まれていたが、甘みが強いのでどちらかというと女子に好まれていたようで、「お酒はあんまり好きじゃない」とかなんとか言いながら甘いカクテルをがぶ飲みする女子のようなものが、昔も存在していたことがうかがえる。

 味醂は蒸したもち米に米麹を混ぜ、焼酎を加えて2か月熟成させたあと絞り出し、さらに1か月寝かせて作る。原料がもち米というだけで、日本酒の製造工程と似ているが、焼酎を加えることで酵母のアルコール発酵を抑え、糖度が増すのだという。ちゃんとした日本料理店では、「煮きり」という作業により本みりんのアルコール分を飛ばして料理に使用し、うまみ調味料や砂糖をがんがん加えてそれらしくした「みりん風調味料」とは違う格段の味わいを醸し出しているが、鰹節と粉末だしの違いみたいなもので、われわれ味オンチなしろうとには「みりん」の差はよくわからない(日本料理店の料理は確かにものすごくうまいですけどね)。

「味醂」は、日本で作られた漢字語で、「醂」という字も味醂くらいでしか見かけないが、渋柿を湯や酒につけて渋を抜くことを「醂す(さわす)」と言うそうで、「甘くて飲みやすい」という「女子も大好き!」みたいな宣伝効果をねらった名称ではないかと推測される。

(KAGAMI & Co.)

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