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秘書

ひしょ

 秘書とは、要人の事務を担当する職種、またその人。つまり、政治家など要人の悪事の肩代わりをして責任をとらされる職種、またその人。漢字を見ると「秘密の書物」と読めて、なんだかいやらしい本みたいだが、実際、中国では古く「宮廷の蔵書」の意味で用いられていた。その秘書を管理するのが「秘書監」であり、われわれが言う「秘書」はその意味に近い。

 「秘書」という言葉が現在の意味で用いられるようになったのは明治以降である。英語のsecretaryなどの訳として、当初は「書記」が用いられていたが、金融機関などで「秘書」という語が使われるようになり、現代では個人に付く事務官を「秘書」、組織の事務官を「書記」と呼ぶことが多い。

 金融機関で「書記」が「秘書」と呼ばれるようになったいきさつはよくわからないが、よほどやましいことを秘密にしたかったのかと疑われるような呼称ではある。もっとも英語のsecretaryは語を分解すると「秘密を扱う人」という意味なので、「秘書」という訳語のほうが語意を明確に反映していると言え、冒頭の「政治家など要人の悪事の肩代わりをして責任をとらされる職種」という定義は(他のどの辞書にも載っていないが)、的を射たものだと自画自賛せざるをえない。

 (KAGAMI & Co.)

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