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掛け蕎麦、かけそば

かけそば

 かけそば(掛け蕎麦)とは、ゆでた蕎麦に熱いそばつゆをかけた蕎麦料理。蕎麦屋に入れば「かけ」だけで通じる。多くの辞典で「汁をかけた〈だけ〉の蕎麦」と言い表されるように、トッピング(要するに金のかかる追加具材)のない基本的な汁蕎麦であり、金がなくてしかたなく食べる蕎麦だともいえる。売る方からすればトッピングがなにもなくてもよいのだが、貧乏人を哀れに思うやさしい蕎麦屋では、うすく切ったカマボコやほうれん草などをお情け程度に乗せてくれるのが普通である(やさしくない蕎麦屋でも、ねぎくらいは乗っている)

 蕎麦は、関東では「つけそば」が普通だったようだが、気の短い江戸っ子がつけ汁を蕎麦にぶっかけて食べたのが、かけそばのはじまりだったようで、当初は「ぶっかけ」と呼んでいた。つまり冷やし中華みたいな蕎麦が「かけ」の元祖であったが、しだいにつけ汁を薄めた熱い汁に蕎麦を浮かせた現在の「かけ」の姿が整えられ、はなまき(刻みのりを乗せたもの)やしっぽく(五目蕎麦みたいなもの)といったバリエーションも豊かになっていったようだ。

 というわけでかけそばは、つゆをかけた蕎麦だからその名がついたという、わかりやすい語源をもつが、異説には、駆けつけてさっと食べられるそばだからというものもある。忙しい江戸っ子の蕎麦であるから、その説も捨てがたいが、それならば、屋台などでさっと食ってダッシュで食い逃げするのに適した「駆けそば」、貧乏人同士の安っぽい賭け事で「じゃ、蕎麦一杯賭けようぜ」という「賭けそば」、昔屋台で出していたような蕎麦のどんぶりは必ずと言っていいほど欠けていたので「欠けそば」など、悪ノリしていくらでも語源が考えられそうだ。

(KAGAMI & Co.)

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