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酒は百薬の長

​さけはひゃくやくのちょう

 酒は百薬の長とは、酒はどんな薬にも勝る効能があるという意味で、過失傷害罪で起訴された酒の刑事裁判における弁護側の主張。そこそこの科学的根拠もあり、検察側は状況証拠に過ぎないと主張するが、煙草のように弁護側がほとんど証拠を示せずにいるケースとは違い、裁判は紛糾している。

 中国の『漢書』食貨志に、新の皇帝・王莽(おうもう)の詔(みことのり)として「夫鹽食肴之将 酒百薬之長 嘉會之好」つまり「で、鹽(塩)は食べ物の将軍(根本、まとめ役)みたいなもんだし、酒は百薬の長で、ハッピーなパーティ(嘉會)には欠かせないよね」(相当な意訳です)とあるのが原典。後の書物では「酒は適量飲めば百薬の長となる」などと解説されるが、原本のどこをどう呼んでも「適量飲めば」というよけいなお世話のひと言は見当たらない。「嘉會の好(よしみ)」というくらいで、宴会でみんながんがん飲んでいたことは想像に難くないし、この王莽という人物は、エキセントリックな政治で悪評も高く、「適度に飲めよ」なんて言ったとはとても思えない。もっとも「薬」の過剰摂取は「毒」に決まっているので、そこまで勝手に解釈して「適度に飲めよ」と言っているなら、まあ、よしとしよう(あー、また、その偉そうな態度……)。(KAGAMI & Co.)

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