運を天に任せるとは、成り行きにまかせて幸運を待つという意味。「人事を尽くして天命を待つ」と似た意味だが、「やるべきことを全部やって」という「人事を尽くして」がないところから、たいして努力もせずに最初から運任せ、つまり「天」に「運」を丸投げしている感のあるのがこの言葉だといえる。しかし、ここで「任せる」という語を使っているところが肝心で、自分がいままでやっていた仕事、あるいは自分がやるべき仕事を他者にゆだねるという「任せる」を使うことにより、「人事を尽くす」まではいかないが、ある程度は努力したので「あとはお願い」みたいな甘ったれた心情を表すのがこの言葉だといえる。

「天」は中国において「神」に近い意味あいを持つが、「運」はそもそも「天」が管轄している分野なので、いまさら「天」に任せるもなにもあったものではない。つまり「運を天に任せる」は、要するに「神様お願い！」と言いたいところを、かなり上から目線で「神様、あとは任せた！　よろしく」と言っているようなものである。

​（VP KAGAMI）