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大雑把、大ざっぱ

おおざっぱ

 大雑把(おおざっぱ)とは、細かいことを気にしない態度や行為を言い表す言葉。最近俗語的に用いられている表現で言えば「アバウト」。細かいことを気にせず注意を怠ると「粗雑」などと言われ、要するに、日本人がたいていの外国人の仕事のやり方について抱く感想である(もっとも外国人から見れば、日本人のやり方は、細かいことにこだわりすぎて効率が悪いということになる)。一方、細かいことにこだわらず全体を把握するやり方を肯定的に言うときも「大雑把に理解しておいてください」などと使うことがあるが、「雑」の印象が強いせいか、あまり積極的には用いられず、「大まか」などの言い方にかえられる。

 大雑把の「大」は大きいの「大」でいいと思うが、「雑把(ざっぱ)」は、アメリカのミュージシャンみたいで(もちろん関係ないけど)、謎の言葉。「雑に把(にぎ)る」と書くから問題なさそうだが、どう考えてもこれは当て字。江戸時代に「大束(おおたば)」という言い方があり、細かいことにこだわらないさま、大きな態度、おおげさなことなどの意味で使われていた。この「束」は、札束や薪の束のように、多くのものを結束するなどしてひとまとめにしたものをさす。大きな束というから一千万円くらいの札束なのだろうし、そのくらいあれば「細かいことにこだわらないさま、大きな態度、おおげさなこと」なのも納得がいく。この「大束」が変化し、「雑」というネガティブな要素が加わって「大雑把」となったと考えられるようだが、文例がほとんどなく特定できない。それを言うなら「大まか」の「まか」もよくわからない語で、「摩訶不思議」の「まか」ではないかという説は「考えすぎじゃね?」と『大言海』は述べている(もちろんそんなヨタな言い方はしていませんが)。ただし「摩訶」には、サンスクリット語で「大きい」という意味があるので、「大まか」は「大きく大きく」のような意味になり、苦しいながらも、そこそこの説得力はある。

 (KAGAMI & Co.)

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