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叩く

たたく

 叩くとは、手や手に持ったもので対象を強く打つという意味。このような動作を他に「うつ」「ぶつ」「なぐる」「たたく」「はたく」などと言うが、そのうち「たたく」は、平手で打つ印象が強く、さらに他が1回の動作について言われるのに対して複数回の動作にも使われる。そのため、人を傷つけようとして打つ場合も、「ぶつ」や「なぐる」などに比べて、手加減する印象があり、ぎりぎりハラスメントを免れそうな打ち方ではある(どんなに手加減してもダメです。正当防衛以外、扮装を解決するために暴力を使ってはいけません。軽率な発言を謝罪します)。

「たたく」は、「太鼓をたたく」のように棒などで打つのにも使われるが、手で打つ場合は平手打ちの印象が強いが、これは後に説明するように、平手でものを打ったり、拍手をするときの音感から来ていると考えられる。つまり、平らな物で平らなものを打ったときの音感である。例えば、住宅の土間を「たたき(三和土)」というのは、その昔、土や砂利に石灰、凝固剤などをまぜ、木製のコテのような表面が平たい道具で叩き固めることから来ている。「太鼓をたたく」のように棒で打つ場合も、似たような音を発するところからこの言葉を使う。

「たたく」の語源は、「たた」という擬音表現から来ているのではないかと言われる。タ行の音は、歯茎破裂音(しけいはれつおん)と言い、舌先と歯茎を会わせた後破裂させて発する音で、「たんたん」「とんとん」「てんてん」など硬い物同士がぶつかる音の表現に使われる。同じ硬い物同士のぶつかる音で、カ行は「かんかん」「こんこん」「きんきん」と金属製の響きのある高音を表すのに対して、タ行はそれより鈍く低い音の表現となる。さらに鈍く、やわらかみのある低い音となると「ばんばん」「ぼんぼん」「ぶんぶん」とバ行で、それが軽い破裂音となると「ぱんぱん」「ぽんぽん」とパ行で表現されることとなる。カ行もバ行もパ行いずれも破裂音で、それぞれ軟口蓋(口の奥)破裂音、両唇破裂音という。口の奥で発し、口中で響かせるカ行の音は、「きゃーっ」という金切り声に使われるように大きな音でよく響く高音の表現に、柔らかい唇で発し、響きのないバ行は鈍く低い音の表現に、無声のパ行は軽い音の表現に使われる。

 ちなみに漢字の「叩(コウ)」は、台を表す「口」に、頭を伏せる意味の「卩(ふしづくり)」で、頭を下に置いた台にぶつけるようにして平身低頭する様を表し、そこから「叩く」「お辞儀する」などと意味となる。この語源からするとその音感は「ゴン」ですな。(VP KAGAMI)

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