別荘

べっそう

 別荘とは、避暑や避寒の目的で、高原や海辺など本宅とは別の場所に所有する家(賃貸でも可)。「週末は別荘で過ごします」などと、周囲の人にいやらしく自慢するのに最適な住居である。「別宅」も、本宅とは別の場所に所有する家(賃貸でも可)だが、こちらは「愛人を囲うため」といったような、正味いやらしい目的で所有する場合が多い。

 「荘(旧字は莊)」という漢字はくさかんむりがついているように、本来「家」の意味はなかった。「壮」は「壮年」「壮挙」「壮大」のように、立派である、盛んである、大きい、という意味があり、「荘」は草が盛んに生い茂ることから、村里や田舎を表す字だったようだ。貴族が田舎に所有していた土地を意味する「荘園(しょうえん)」などはその好例である。「別荘」は、まさに田舎に所有する別宅であり、的確な名称ではなかろうか。昭和時代、「ときわ荘」「あずま荘」などと「荘」の字を付けるアパートが多かったが、これは「荘」に、金持ちの大きな家というイメージ(そりゃあ、別荘を持っているようなヤツは金持ちだろうよ)があったからではないかと思われる。しかし、最近はなんたら荘などという野暮な名前のアパート(逆に、いまどきそんな名前を付けるのはとんがったコンセプトマンションであるかもしれない)もほとんどなくなり、昭和時代のアパートは原語どおり、田舎のボロ屋の風情を漂わせている。

 なお、「郊外のお屋敷」といったイメージから「別荘」は、裏社会で「刑務所」を表す隠語として用いられている。もっとも近年は不景気のせいで、ほんものの別荘を持つことが難しくなったせいか、一般社会人の間でも「別荘」といえば「刑務所」のことだと「言われなくてもわかるよ」みたいな雰囲気が漂っている。

 (KAGAMI & Co.)

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