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一枚噛む
いちまいかむ
一枚嚙むとは、一員として加わるという意味。「会社設立に彼も一枚嚙んでいる」などと肯定的に用いる場合もあるが、「その話、オレにも一枚嚙ませてくれないか」と、怪しげな状況で怪しげな人物が使うのに適している。
この「嚙まれる一枚」が金メダルでないことは言うまでもないが、どうやら歌舞伎の看板のことらしい。江戸時代、歌舞伎小屋の外に張り出された看板には、主な出演者が一人一枚描かれていた。「一枚嚙む」ことを「一枚加わる」とも言うが、看板が一枚加わる、つまり役者としてその芝居に出演する、参加するというのが「一枚加わる」または「一枚嚙む」ということなのだ。そして「一枚」が看板のことであるなら、「一枚加わる」のほうが本来の言い方であると考えられる。
では「嚙む」はどういうことか。「嚙む」は上下の歯でものを強く挟んでつぶしたり砕いたりする行為を言うが、そのイメージから、ジッパーが服の端をはさんでうごかなくなる、つまり食い込むことを「嚙む」ともいう。その場合の「嚙む」は、食い込まれてなかなか外れないいまいましい気持ちをも表すことになるが、そのように「一枚嚙む」には、周囲から見れば、本来加わる予定ではない者が外部からムリムリ入り込んできて迷惑だという気分が盛り込まれているような気がする。「その話、オレにも一枚嚙ませてくれないか」という人物に、「招かれざる客くささ」がぷんぷんしているのもそのせいであろう。
(KAGAMI & Co.)