コロナ問題 総括3-2 緊急事態宣言について
ころなもんだい そうかつ3-2
緊急事態宣言について、いまになって「不要だったのでは?」などとブーたれている人があるようだが、その人たちの何人が、発令当時に「いらない」と言っていただろうか? 「もう遅いよ! いまごろ出してもダメだ~っ」と大騒ぎしていた人が多いのではないだろうか。
私はもともと感染爆発は起こらないと考えていたから、この特集を振り返っていただければおわかりのように、「宣言の後れは安倍政権にとっておそすぎた。ここまで来たら出さないほうがいいのでは」などと首相の心配ばかりしていて、「宣言」そのものについては「国民にとっては出してくれたほうがよかったね」くらいの態度だった。政府の政策立案者もおそらくそんな現状認識だったから、「伝家の宝刀」を抜くのにずっと抵抗していたのだろう。そうしている間に安倍首相の評判はどんどん落ち、東京都知事や大阪府知事にせっつかれてしぶしぶ宣言したという、奥さんにやいのやいの言われてようやく重い腰を上げるダメ亭主みたいなありさまになっていた。
しかし、結果的には緊急事態宣言の発動のタイミングは、最適だったといえる。実際にはあまり強制力のないこの「宣言」は、国民がみんな本気で「やべーっ」と感じていなければ効果がない。3月後半感染者が増加しだしたころに出したって、みんな「な~に言ってんだか」でスルーしてしまっただろう。いっぺんスルーされたら、オオカミ少年で、もう一度出されたって誰も見向きもしない。
海外のマスコミが「ニューヨークになる!」と無責任な記事を書き、それを「緊急事態宣言は遅すぎると、バッサリ」などと、「よく言ってくれた」くらいの勢いで日本のマスコミが持ち上げ、そんな論調に浮き足立ってテレビのコメンテーターや有名人が大騒ぎしてくれたおかげで(みなさん、本気でパニクっていただいて、ほんとうにありがとう。みなさんのおかげで日本は救われた)、国民の緊張感は一気に高まり、「さしあたっての」感染防止につながったのである。(KAGAMI & Co.)