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のうのう、のうのうと

のうのう、のうのうと

 のうのうとは、気分がゆったりとしているさま、のびのびしているさまをいうが、「オレは必死に働いているのに、ヤツは働きもせずにのうのと生きている」のように、世間をはばからない恥知らずな態度を表すのによく使われている。「のうのう」自体には「しゃあしゃあ」や「おめおめ」のような恥知らずな様子を表す意味はなく、例文にあげられた人物においても、金に困らないのでただぐうたら生きているだけなのかもしれないが、近くでその様子を見ている働いても働いてもじっと手を見るだけの人物にとっては、恥を知らないずうずうしいヤツと受け取られてもいたしかたなく、そういう「じっと手を見る族」の「のうのう」の使い方が広まっているのだと考えられる。

「のうのう」が使われ始めたのは近世以降のようで、その語源は明らかではないが、「のびのび」の「伸びる」と関係がありそうだ。一方、各地の方言に「のうのう(のーのー)」という言葉は残されているが、広々としているさま、手足を伸ばして横になるさま、無能なさま、ものがたくさんあるさまなどと意味は多様。また「のの」「のーの」「のん」「のんの」といった言い方で、各地で僧侶、巫女、医者、お人好し、おろか者、祖父母、男の子などを表し、さらに幼児語として火、雷、星など光るもの、花、文字などの意味で使われる。つまり、「のの」「のーの」「のんの」はどうやら幼児が口にしやすい言葉なのであり、身近なものやよく目にするが神秘的で尊いもの(おろか者も、人間離れした神秘的で尊いものなのだ)などにやたらとこの言葉が使われたのではないかと考えられ、「のうのうと生きる」の「のうのう」のように特定の語源を探す必要はないのかもしれない。(VP KAGAMI)

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